修理・塗り変えについて

食器から家具まで、様々な輪島塗の修理は 私共にお任せ下さい。

高価である事はもちろん、数々の思い出の詰まった輪島塗。

大切な輪島塗を生涯に渡って大切に使ってもらいたいとう思いで修復させて頂いておりますおります。

まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

漆が死んでる、劣化してる

たいしたケガをしていなくても、30年ぐらいのもんでも、「漆が死んどる」場合があります。

材質の劣化です。

よくない漆だったり、混ぜものが多かったり、モトが悪いと劣化は早い。
下地や中塗りの材質がよくなかったりすると、全体がヒビだらけになって馬脚を表したり。日なたに放置したり、結露している押し入れで箱が濡れてしまったり、といったことでも漆が死んでしまいます。

どのくらい使うと痛む?

本物の漆器を、家庭で、丁寧に使いまわしている分には、 お椀のように一日二度、三度、一年に千回使っても、使いキズだけで気になりません。

自分だけが使うのなら一生もんです。

扱いが荒くて、縁に歯っ欠け状にたくさんの欠けが並ぶこともあります。

幼児の時から使いはじめた器なら学校にあがるころ、学校にあがってからなら成人式の頃、 キズ口をふさぐ意味で、塗りなおしの時期でしょう。

料理屋ですと、たとえば うなぎ重箱 20個を使いまわして一日5回、一年でおよそ3万回。一年半か二年で「なおしもん」に出せば安く塗り直せます。

修理はお早めに

「なおしもん」は木地や下地を守るための、塗装の仕直しが本来の日的です。

下地や木地が見えてきたら、直してもまた膨らんできたり、 木地が湿気を吸っているから、もうダメ、とみてよいでしょう。

一般的に持ち主の方は、ちょっとキズがついてもまだまだ使える、 とお金をかけるのをしぶりがち。

直す方から見ると、キズは浅いほど直りがよいし、安くてすみます。

修理代を高くとるのは、なおし手としても取りにくいもの。

塗師屋にとって「なおしもん(修理)」とは

売った責任として「なおしもん」は受けとる。

自分が売ったもんは、「なおしもん」する責任は、ありますよね。

だから拒否はできない。受けとって直します。
自分たちが塗ったもんが痛んで戻ってきたら、直して返してやるのが、 道具へのいつくしみ、でもあります。

それと、自分たちの工夫して作ったもんが、どんなふうな痛み方をするのかは、 作り手の参考になりますからね。

修理はお早めに

漆器は材料費より、手間がほとんどです。同じものを作るのも、違うものを作るのも、 基本的に手間はそうは変わらない。

「きまりもん」とオーダーメイドとが、ほとんど変わらない。

「なおしもん」もそういう意味では、オーダーメイドの一種として取り組めることなんですね。

ただし「なおしもん」は、新品をつくるのと違って痛んだ層を剥がしていく作業が加わるから 手間がかかります。

それと、どうしても新品を作るより、出来あがりはよくない。

もう1つ あんまり楽しい仕事とはいえないところがありますよね。

もちろん「なおしもん」してでも使い続けようと、持ちこんでくださることは嬉しい。

工夫と手間で、直ったぞ、という達成感もあります。

それにお客さんの喜ぶ顔を見るのも嬉しい限りです。

そういうわけで、中には「なおしもん」が来たら、シブイ顔する店もあります。

快く「やりますよ」と受けてくれる店はいい店だと思ってください。

事故品と消耗品の違い

「なおしもん」は本来、料理屋などのプロの商売の「消耗品のメンテナンスサービス」なんです。

毎日何回も、どんどん使いまわしていれば、キズつき痛むのは当然で、 お客さんに出せなくなるから「なおしもん」に出すんです。

いわば消耗品を、買い換える費用の節約として「なおしもん」するわけです。

病院でいえば健康管理をするクリニックの仕事、みたいなもんです。

個人が家庭などで使ってらっしゃるものが痛むのは、ほとんど事故のようなもので、 救急病院みたいなもんです。

直しやります。
でも塗師屋の「なおしもん」は、プロデュースのもののメンテナンスの仕事が本当なんです。

なおしもんはセールスの手はじめ

塗師屋にとって「なおしもん」自体は商売になりません。

むしろ「なおしもん」サービスをすることで、お客さんと顔も通じるし、話も通じるようになる。

工程の話もできて、ウチではこういう工程をとっているから安い、あるいは高い、けど丈夫である、 といった話で、値付けを納得していただける、 そういうきっかけとして、「なおしもん」をする。

直しっぷりを見てもらって、これほどの腕があるんなら、と信用を得るチャンスにもしています。